新刊! 佐相憲一詩集1983~2018

『佐相憲一詩集1983~2018』7月25日刊行です

定価 2,000円+税

地球が詩を書いている。1980年代から2010年代の激動の中で紡がれた心の声。『共感』『対話』『愛、ゴマフアザラ詩』『永遠の渡来人』『心臓の星』『港』『時代の波止場』『森の波音』『もり』。佐相憲一(1968~)9冊の詩集と未発表作から選ばれた107篇が、回転するこの星の自然界といまを生きる人びとに捧げられる。

あたたかくなってきましたね
また北へ旅に出るのですね
ヒトが国家と国家で閉ざしてきた海を
あっけなく 悠々と 渡ってゆくのですね

そんなに深い目で見つめないで下さい
どちらが人間かわからなくなってしまいます
(「ゴマフアザラシさん こんにちは」)

突進する群れに傷を負ってなお
薄暗い霧のなかに 共に生きる銀河の岸辺に
新しい関係性が 痛み という花を育てる
(「樹海の蜘蛛」)

もしかすると 希望 って
前を向いている時の 後ろ姿 なのかもしれません
(「波止場」)

NHKラジオ深夜便にも出演した著者の既刊詩集はすでに絶版が多く、この間の読みたいという広い声にこたえるかたちで、待望のダイジェスト収録版となります。第36回小熊秀雄賞を受賞した第3詩集『愛、ゴマフアザラ詩』をはじめ、現役で活躍中の詩人がいまの時代に発信する切実な声に注目です。

著者について
1968年横浜生まれの詩人・ライター・編集者。早稲田大学政経学部卒。高層ビル窓ガラス清掃、レストランウェイター、建築資材の荷あげなど職を転々とし、大阪で学習塾教室長、東京で出版社編集者を経て、2019年より個人事業主。17歳より詩の世界に入り、2003年第3詩集『愛、ゴマフアザラ詩』で第36回小熊秀雄賞。著書は詩集9冊のほかに、詩論エッセイ集『21世紀の詩想の港』『バラードの時間―この世界には詩がある』、小説『痛みの音階、癒しの色あい』。現在、日本詩人クラブ理事長、小熊秀雄協会代表。日本現代詩人会、横浜詩人会などの会員。16都道府県で詩関係の講演・講師・朗読を行ってきたほか、ネットテレビやラジオに出演。